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モラハラで離婚を切り出す前にやるべき3つのことと、知っておくべきお金の知識

配偶者のモラルハラスメントを理由に離婚をする場合、離婚を請求する側は事前に入念な準備が必要です。また、離婚時に請求できるお金についても、適切な請求金額を事前に把握しておくことで、お金に関する交渉でも有利な立場に立つことができます。

そこで、本記事ではモラルハラスメントの被害に遭われた方が離婚を請求する前にやるべきこと、そして知っておくべきお金の知識について解説します。

モラルハラスメントの具体例や知識については、こちらの記事も参考にしてください。

参考:DV・モラハラについて(弁護士法人はるか離婚相談サイト)


モラルハラスメントでの離婚を切り出す前にやるべき3つのこと

まずは離婚を切り出す前にモラハラ被害者がやるべきことを解説します。離婚の意思を察知される前に、これからお話しする準備を整えておきましょう。


モラハラの証拠を用意する

配偶者に離婚を切り出す前に必ずやっておくべきことは、モラハラの証拠の確保です。

日本では、話し合いで離婚をするのであれば、どんな理由であっても離婚は認められます。しかしながら、裁判離婚の場合、民法で定められた法定離婚事由と呼ばれる理由が必要です。

モラルハラスメントの加害者は話し合いによる離婚に応じない可能性が高いため、調停や裁判といった手続への移行を想定しておく必要があります。

モラルハラスメントは、法定離婚事由として民法に明記されている訳ではありませんが、過去の事例では、証拠がそろっていれば離婚が認められやすい傾向にあります。

モラルハラスメントの有効な証拠となり得るのが以下の書類やデータ等です。

  • モラハラがなされている最中の音声データや動画データ
  • モラハラの言動を記録したメモや日記帳
  • モラハラ発言がなされているメールやメッセージアプリの写真、手紙等
  • 隣人、友人等の証言
  • 警察等への相談の記録
  • モラハラによって精神疾患等を発症した場合はその診断書

これらの証拠を集めていることがわかると、束縛が厳しくなるなど加害行為が激化するおそれもありますので慎重な行動が求められます。証拠の収集方法がわからない、怖くて行動ができないという方は、ひとりで悩まずにご相談ください。証拠の確保の段階からサポートさせていただきます。


別居先、離婚後の住まいを確保する

モラハラ配偶者との離婚の話し合いは、難航することが多い傾向にあります。離婚協議中の同居生活は想像以上の苦痛を伴いますので、別居を選択する方が少なくありません。また、モラハラ行為に耐えられないという方も別居を検討するとよいでしょう。

離婚が成立するまで同居を続ける場合も、離婚後の住まいについて考えておかなければなりません。いずれにしても、別居や離婚までに住まいを確保しなければなりませんので、離婚を切り出す前にどこで暮らすのかを考えておきましょう。


弁護士に相談をする

上記の2つと同時並行で弁護士に相談をしておきましょう。モラハラの被害に遭って離婚を切り出す場合、離婚を相手に認めさせるだけでなく、後ほどお話する慰謝料等のお金の問題も決めていかなければなりません。

話し合いで双方が合意できなければ、離婚調停を申し立て、それでも離婚や諸条件に合意できなければ裁判を起こすことになります。これらの手続は、法律実務に携わっていない方には難しく時間と手間がかかってしまうので、弁護士に依頼するのが得策です。

また、調停を申し立てる前の段階で、弁護士が代理人となって交渉をすればスムーズに話がまとまることもあります。弁護士が代理人になれば、ご自身はモラハラ配偶者と直接話す必要はなくなりますので、ストレスからも解放されます。

弁護士は、離婚の為に必要な証拠集めのサポートや、慰謝料請求等も行いますので離婚に関する交渉を有利に進めたい方は、弁護士にご相談ください。


モラハラ離婚を検討する方が知っておきたいお金の知識

離婚をする際は、その離婚理由によっては慰謝料の請求が可能です。また、財産分与や養育費等も請求できますので、ご自身が請求できるお金について把握をしておきましょう。


モラハラに対する慰謝料

不法行為に該当するモラルハラスメントであれば、慰謝料の請求が可能となります。モラハラの慰謝料の相場は、50万円から300万円です。

話し合いの段階で慰謝料を請求して相手が応じれば、証拠がなくても問題がありません。しかし、離婚調停や裁判などの家庭裁判所を介した手続の場合は、調停委員や裁判官を納得させられるだけの、モラハラ行為の証拠が必要となります。

モラハラ行為の証拠は離婚の成否だけでなく、慰謝料の請求にも関わってきますので、慎重かつ確実に収集しましょう。


財産分与

離婚をする際は、夫婦の共有財産をわけることになります。共有財産とは、婚姻期間中に増えた資産や購入した資産のことを指します。たとえば、婚姻中に貯めた貯金、購入した家や車などです。これらの共有財産は財産の名義を問わず、夫婦の共有財産として、原則2分の1ずつに分与されます。夫婦のいずれかが専業主婦(夫)であっても、分与割合は2分の1と判断されることが多い傾向です。

とはいえ、離婚をする際に自動的に分与されるのではなく、一方が請求しなければ受け取ることはできません。財産分与を請求する際は、夫婦の共有財産を把握しておくことが大切です。ちなみに、婚姻前から保有していた資産や、親等から譲り受けた資産は特有財産といって財産分与の対象外となります。


養育費

夫婦の間の子どもがある場合は、子どもを育てる親(監護親)が、子どもと離れて暮らす親に対して、養育費を請求できます。子どもの養育費を支払うのは、親の義務です。しかしながら、現実には養育費の支払い状況は芳しくなく、多くのひとり親世帯が養育費を受け取れずに苦しんでいます。

離婚後に養育費未払いを発生させないためには、離婚時にしっかり取り決めておくことと、未払いになった際にすぐさま法的措置を講じられるように執行認諾文言付き公正証書を作成しておくことが大切です。

養育費の金額は、双方が納得すればどのような金額でも問題はありませんが、裁判になった場合は裁判所が公表している算定表を基に算定されることがほとんどです。養育費は子どもの人数や年齢、双方の収入によって決められます。

【裁判所公式サイト:https://www.courts.go.jp/toukei_siryou/siryo/H30shihou_houkoku/index.html


婚姻費用

婚姻費用とは、夫婦が生活をするために必要なお金です。民法760条では双方の収入に応じてそれぞれが負担しなければならないと定められています。

これは、別居をする場合も同様です。配偶者が家計を主に担っていた場合は、配偶者に対して別居期間中の婚姻費用を請求することができます。婚姻費用も、養育費と同じように算定表によってその金額が算定されます。


モラハラ配偶者にお悩みの方はご相談を

モラハラ配偶者との離婚は、離婚自体で揉めるケースが多く当事者同士の話し合いは、被害者さまにとっては大きな負担となります。さらに、慰謝料や婚姻費用、財産分与などのお金の問題も絡みますので事態は複雑化して、解決までに時間を要してしまうことが少なくありません。

モラハラ被害に遭われている方の多くは長期間の嫌がらせにより、冷静な判断ができなくなっています。離婚を切り出すことすら難しい方、証拠集めをしようにも監視が厳しく身動きがとれない方もいらっしゃいます。

そのような状況では、離婚問題の解決は難しいのでひとりで解決をしようとせずに弁護士にご相談ください。弁護士は、依頼者様の立場に寄り添い最適な解決方法を提案可能です。