弁護士法人はるか|水戸法律事務所

遺留分について

今回は遺留分について説明します

遺留分の制度とは, 遺留分とは、被相続人の遺産の中で、法律上その取得が一定の相続人に留保されていて、被相続人による自由な処分に制限が加えられている一定の権利を指します。 言い換えれば、法定相続分のうち、一定の相続人のために法律上必ず遺留しておかねばならない最低限の遺産のことを言います。 遺留制度の趣旨としては、最高裁判決(平成13年11月22日)に下記のように書かれています。 「遺留分制度は、被相続人の財産の処分の自由と身分関係を背景とした相続人の諸権利を調整するものである。 民法は、被相続人の財産処分の自由を尊重して、遺留分を侵害する遺言について、一旦その意思通りの効果を生じさせるものとした上、これを覆して侵害された遺留分を回復するかどうかを、専ら遺留分権利者の自律的決定に委ねたものということができる。」の通りです。
遺留分の侵害

被相続人が自由分を越えて処分をし、その結果、相続人が自由分を超えて処分をし、その結果、相続人が現実に受ける相続利益が法定の遺留分額に満たない状態を指します。

その他原本の枚数によっても数百円程度の手数料がかかります。
詳しくは当事務所にお問い合わせください。

 

遺留分の行使について

遺留分の主張は、遺留分権を有する相続人の自由意志に委ねられています。 遺留分権を持っていてもこれを行使する希望のない人は、遺留分を主張しなくてもよいです。 遺留分を持っていることと行使することは別です。

 

遺留分侵害請求

遺留分の侵害がある場合には、遺留分権利者は、遺留分を取り戻すために、侵害の対象となる相続人(受贈者・受遺者)に対して遺留分の侵害を請求することができます。これを「遺留分侵害請求」と言います。

遺留分権利者の範囲は、相続人のうち、被相続人の配偶者、直系卑属、直系尊属です。兄弟姉妹は除外されますが、子の代襲相続人も遺留分権利者となります。

 

遺留分算定の財産額

相続開始時の遺産(遺贈も含む)に贈与を加えて、そこから債務の全額を控除して得た額です(民法1029条1項)。

 

遺留分侵害請求の行使の期間

遺留分侵害請求権は、遺留分権利者が相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺産があったことを知った時から1年間行使しないときは、時効になって消滅します。相続開始の時より10年を経過した時も同様に時効になります。

 

遺留分の放棄

遺留分権利者は、遺留分を放棄することができます。相続開始前に遺留分の放棄をするには、家庭裁判所の許可が必要となります(民法1043条1項)。相続開始後の遺留分の放棄は自由にできるので、家庭裁判所の許可は不要です。

 

遺留分侵害請求の設例

・設例その1:

被相続人Hは妻Aに全財産を相続させるとの遺言を残していた。

相続人は、妻Aと子B及び被相続人Hと前妻との間にできた子Cでした。

Cは遺留分侵害請求の調停を家庭裁判所に申し立てました。

被相続人の遺産は8000万円です。

Cの遺留分は法定相続分1/4ですが、遺留分はその1/2となることから1/8となります。

よって、Cの遺留分は1000万円(8000万円×1/8)となります。

相続人Aに対する遺留分侵害請求額は1000万円となります。

・設例その2:

被相続人Hは、Hの有する財産全部を子Aに相続させる遺言書を書いていた。 Hの相続人は子のAとBです。 Hの遺産は不動産(積極財産)を含み1億2000万円であり、8000万円の債務(消極財産)も有していました。 BはAに対して遺留分侵害請求を行いました。Bの遺留分侵害額はいくらになるでしょう。 Hの遺言によりAが相続債務を全て負担することになります。 侵害額の計算は、積極財産から消極財産を差し引いた額である4000万円の4分の1である1000万円となります。

・設例その3:

 被相続人Hは、公正証書遺言で全財産を長男であるAに相続させる遺言でした。遺産の総額は4000万円でした。 相続人は長男Aと二男Bでした。 被相続人は15年前にBが家を建てる時に1500万円の資金援助をしていました。 BからAに遺留分侵害請求があったがどうなるでしょうか。 遺留分の計算は、 みなし相続財産→遺産総額は4000万円にBの生前贈与(特別利益)1500万円を加算した5500万円となります。 みなし相続財産を都に各相続人の一応の相続分を計算します。 Aは、5500万円×3/4=4125万円 Bは、5500万円×1/4=1375万円 各相続人の具体的相続分を計算します。 Aは、4000万円 Bは、1375万円-1500万円(特別利益)=-125万円 よって、Bは特別利益として被相続人Hの生前に1500万円支払ってもらっていますので、本件相続では遺留分として請求できません。

遺留分のことでお困りの方は、お気軽に弁護士にご相談ください。親切、丁寧、迅速に対応いたします。