弁護士法人はるか|水戸法律事務所

通勤災害の範囲

 勤務先への通常の合理的な経路及び方法による通勤途上で負傷した場合には、通勤災害が認められます


 では、会社に届け出ている通勤経路とは違う経路上で負傷した場合には、通勤災害と認められるのでしょうか。


 この場合には「合理的な経路及び方法」とはどのようなものであるかが問題になります。会社と自宅を往復するために、一般的に用いられる経路や方法であれば通勤災害として認定されます。


 それでは、通勤途中で寄り道をした場合はどうなるでしょう。寄り道のことを「中断・逸脱」といいます。
 原則として、通勤経路を中断・逸脱した場合には、その間と通勤経路に復帰した後についても通勤途上とはなりません。ただし、一般的に通勤途上で行うような些細な行為は中断・逸脱としては取り扱われません。


<些細な行為の具体例>
・経路近くにある公衆トイレの使用
・経路近くにある公園などでの短時間休憩
・経路上の店でジュース、雑誌等の購入、などです。


なお、中断・逸脱が日常生活上必要な行為であって、一定の範囲のものをやむを得ない事由により行うための最小限である場合には、中断・逸脱の間は通勤とされませんが、その後の往復は通勤となります。


<日常生活条必要な行為>
・ 日用品の購入その他これに準ずる行為
・ 職業訓練等、職業能力の開発工場に資するものを受ける行為
・ 選挙権の行使その他これに準ずる行為
・ 病院又は診療所において診察又は治療を受けること
・ その他これに準ずる行為、要介護にある配偶者、子、父母、配偶者の父母並びに同居しかつ扶   養している孫、祖父母及び兄弟姉妹の介護(継続的に又は反復して行われるものに限る。)等


  通勤災害の範囲は意外と広いものです。勤務先の行き帰りに負傷した場合は、一度勤務先の労務担当の方などに問い合わせてみるとよいでしょう。
 なお、業務命令により出張する際の往復での災害は通勤災害ではなく、業務災害となりますのでご注意して下さい。