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自賠責保険・共済紛争処理機構への後遺障害認定申請請求事例

一般財団法人 自賠責保険・共済紛争処理機構 御中

                                                                             

                                                                                                    弁護士法人はるか

 

            後遺障害等級に関する紛争処理申請の理由

 

 被害者甲(以下「被害者」という。)の後遺障害について,共済農業協同組合連合会F県本部に異議申立をしたが,平成30年12月8日付後遺障害等級(事前認定)結果のご連絡にて,「本件事故による明らかな外傷性変化は認められず,後遺障害診断書等の記載内容に於いて,症状を裏付ける有意な神経学的所見には乏しいものと捉えられることから,訴える症状を医学的に証明し得るものとは評価し難いものと判断します。さらに症状・治療経過等を勘案しても,『神経系統の障害が医学的な他覚的所見により証明される』ものとは捉え難く,第12級13号に至る障害を残すものと評価することは困難と判断します。したがって,前回回答に変更なく,『医学的に説明可能な痛みやしびれが持続しているもの』として,別表第二14級9号に該当するものと判断します。」との回答であった。

 しかし,当職は,被害者の受傷機転,右手関節痛の経過,後遺障害の残存症状およびA病院整形外科医である乙医師との面談聴取内容等から,被害者の右手関節痛は,本件事故による三角線維軟骨損傷に因るものと判断する。被害者の右手関節痛は,神経系統の障害(右手関節痛)が医学的な他覚的所見により証明されるものであり,後遺障害等級別表第二第12級13号に該当する。よって,後遺障害等級に関する紛争処理申請をする。

 

1.受傷機転

 平成29年2月26日,被害者が運転する原動機付き自転車が,信号機のある交差点を青信号で直進中,左方道路から加害者丙運転の普通貨物自動車が赤信号を無視して交差点に進入してきた。被害者は,普通貨物自動車を避けようとしたところ,転倒し,路面で右手関節を強打し負傷した。その他左胸部,両下腿,腰部を打撲負傷した。

 

2.受傷部位と症状経過

 被害者は,事故当日である平成29年2月26日,B整形外科を受診し,左肋軟骨損傷,右手関節捻挫,両下腿打撲,両膝打撲傷,腰椎捻挫と診断された。その後,右手関節痛以外の症状は,治療経過期間と共に軽快した。しかし,右手関節痛は,改善せず,強い痛みが続いた。同病院で治療を継続したが,痛みが軽減しないため,同年4月21日からA病院整形外科を受診した。同院において,右手関節痛,右尺骨突き上げ症候群と診断され,治療を継続した。その後も,右手関節外側(尺側)部の痛みが継続するため,同年7月,右手関節のMRIを撮影したところ,右手三角線維軟骨の変性が認められた(A病院 乙医師作成の平成30年2月28日付診断書)。

 症状固定日は,B整形外科で平成30年2月28日となっているが,被害者の右手関節痛は残存していた。特に,右手関節外側(尺側)部の痛みは,強く残存していた。

 症状固定後も右手関節外側(尺側)の痛みは強く,全く改善しないため,被害者は,A病院整形外科へ通院し,治療を継続した。その後,右手関節の三角線維軟骨損傷(A病院 乙医師作成の平成30年6月2日付診断書)と診断された。

 

3.主治医との面談

(1) 当職は,平成30年8月27日,A病院整形外科,乙医師と面談し,被害者の右手関節痛につき聴取した。乙医師の回答は,次の通りであった。

(2) レントゲン画像に写る右尺骨茎状突起骨折,及び遊離骨片は陳旧性のものと判断される。右尺骨茎状突起骨折及び遊離骨片がある状態と,右尺骨突き上げ症(右尺骨が右橈骨よりも突き上げられ,骨に段差が生じ,三角線維軟骨複合体に圧力がかかりやすい状態)により,三角線維軟骨や周囲の靭帯(三角線維軟骨複合体)が劣化していたところ,本件事故によりに右手関節の三角線維軟骨が傷つき三角線維軟骨損傷が発生したものと認められる。

  初診時に傷病名を右尺骨突き上げ症候群としたのは,レントゲン画像で明確に右尺骨が突き上げた状態になっていることが認められたので,右尺骨突き上げ症候群とした,その後治療を継続したが右手関節痛が改善しないのでMRI撮影をしたところ三角線維軟骨の損傷が認められたので三角線維軟骨損傷と診断した。 

(3) 三角線維軟骨損傷により,被害者の右手関節尺側(外則)の痛みが続いている。被害者は事故前には右手関節の痛みは全くなかったと話していることから,本件事故により右手関節三角線維軟骨を損傷し,それを原因として右手関節痛が発生したと判断できる。右手関節の強い痛みは,右尺骨突き上げ症の存在も影響している。

 

4.右手関節痛の原因について

 (1) 右手関節痛は事故後の初診時から現在まで,全く症状の改善がないまま続いている。レントゲンでは,右尺骨茎状突起骨折が認められ,遊離骨片が認められる(B整形外科の丁医師作成の後遺障害診断書)。しかし,右尺骨茎状突起骨折は陳旧性のものである。事故前は右手関節痛が全く無かったことから,右手関節痛は陳旧性の右尺骨茎状突起骨折が原因ではない。また,右尺骨突き上げ症も本件事故前から存在しているため,右尺骨突き上げ症も右手関節痛の原因ではない。

(2) 右手関節痛で特に右手関節外側(尺側)痛が強いこと,右手関節尺骨茎状突起部を押すと同部の痛みが増強すること等は,三角線維軟骨損傷を裏付ける有力な症状である。加えて,被害者は,MRIの撮影により,右手関節三角線維軟骨の変性が認められ,三角線維軟骨損傷と診断(A病院乙医師作成の平成30年6月2日付診断書)されている。

(3) 以上のことから,本件事故により三角線維軟骨を損傷したことは明らかである。右手関節痛の原因は,右手関節三角線維軟骨損傷によるものであり,痛みの原因は医学的に証明できる。

(4) 上述のように,被害者の右手関節痛は,医学的な他覚的所見により証明されるものであるから,被害者の右手関節痛は,後遺障害等級別表第二第12級13号に該当する。

(5) なお,B整形外科では初診時から右手関節捻挫と診断しているが,同整形外科にはMRIを設置しておらず,被害者の右手について,MRIの撮影を行っていないことから,右手関節三角線維軟骨損傷を見落としたと考えられる。

  別紙資料

№1「TFCC損傷(三角線維軟骨複合体損傷)」

№2「三角線維軟骨複合体(TFCC)損傷」を参照されたい。

 

5.後遺障害等級

被害者の右手関節痛の神経症状は,右手関節三角線維軟骨損傷が原因であると捉えられ,医学的な他覚的所見により証明されるものである。「局部に頑固な神経症状を残すもの」として別表第二第12級13号に該当する。

                                              以上

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