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ライセンス契約なくプログラムをインストールした場合の法的責任と損害賠償額

 

業務上使用するソフトウェアなどのコンピュータープログラムを、著作権者とのライセン契約を締結せずにパソコンなどにインストールした場合、どのような法的責任を問われるのでしょうか。実際に裁判となった事例を取り上げながら、著作権者に無断でインストールした場合に著作権侵害となるのがどのような場合か、また著作権侵害となった場合の損害賠償額の算定方法について解説します。


1.プログラムの著作権

 

著作権法は思想やアイディアに基づく表現を保護する法律です。コンピュータープログラムについては、作成者の個性が表現されていて創作性が認められる場合には、「プログラムの著作物」として著作権の保護の対象となります(著作権法1019号)。

 

コンピュータープログラムに著作権が認められる場合には、著作権者との間で利用許諾契約(ライセンス契約)を締結せずに第三者が当該プログラムを利用すると著作権侵害による損害賠償請求を受ける可能性があります。

 

2.プログラムの無断インストールが違法となる場合

コンピュータープログラムのインストールは、著作権法上「複製」にあたります(著作権法2115号)。「複製」とは、既存の著作物に依拠し、その創作的な表現部分の同一性を維持し、これに接する者が既存の著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することのできるものを作成する行為です(知財高判平成28427日)。

 

コンピュータープログラムをハードディスクにインストールする行為のほか、CD-ROM等にプログラムをコピーする行為やサーバーにアップロードする行為なども著作権法上「複製」にあたります。

 

第三者が著作権を有する著作物について「複製」をする場合には、当該著作権者から利用許諾を得る必要があります。したがって、著作権者とライセンス契約を締結せずにプログラムをインストールすることは、著作権者の複製権を侵害し違法となります。

 

後で説明する裁判例でも示されているように、著作権者に無断でプログラムをインストールした後に、正規のライセンス契約を締結したとしても、適法となるのはライセンス契約を締結した以降の利用です。この場合、ライセンス契約を締結していなかった期間については損害賠償請求の対象となるため注意が必要です。

3.プログラムの無断インストールが適法となる例外

(1)バックアップを目的とした複製

ライセンス契約上、1回のインストールが許諾されているプログラムについて、複数回のインストールが認められるケースが著作権法47条の3で定められています。これは、プログラムのバックアップを目的とした複製行為を例外的に許容するものです。

ただし、この規定によって複製が適法となるためには、1回はライセンス契約を締結していることが必要です。したがって、著作権者に無断でインストールしたプログラムについては、そもそも適用されないため注意が必要です。

(2)私的利用のための複製

著作権法30条は、私的使用のための複製については例外的に著作権者からの許諾を得ずに行うことができるとしています。家庭内や個人がプライベートで使用する場合であれば、無断でプログラムが複製されたとしても、著作権者が受ける損失は大きくないと考えられるためです。

これに対し、会社などの業務で使用する目的でプログラムを著作権者に無断でインストールすることは、私的使用として許容されません。

 

4.ライセンス契約を締結しない利用行為に対する損害賠償

ライセンス契約を締結せずに無断でプログラムをインストールした行為が著作権侵害に当たる場合、損害賠償額はどのように算定されるでしょうか。

(1)著作権侵害による損害額が争われた裁判例

Microsoft社のExcelなどのソフトウェアを無断でインストールして業務上使用していた事案について、著作権侵害に基づく損害賠償額が争われた裁判例としてLEC事件(東京地判平成13516日)があります。

この事案では、原告であるMicrosoft社、Apple社及びAdobe社は、ライセンス契約を締結せずに3社のソフトウェアをインストールした資格試験予備校LECに対して、正規品小売価格の2倍に相当する損害賠償を求めました。これに対し、裁判所は、正規品小売価格相当額約8500万円を原告3社の損害額として認めました。なお、被告LECは、無断インストール後に正規品を購入したのであるから損害は発生していないと主張しましたが、認められませんでした。

 

(2)著作権侵害の損害額推定規定

著作権侵害による損害額については立証が容易でないことが多々あります。このため、著作権法は損害額を推定する規定を置いています。

・侵害者が侵害行為により作成された物を譲渡又は侵害行為を組成する公衆送信を行ったときは、その譲渡等数量に、著作権者がその侵害行為がなければ販売することができた物の単位数量当たりの利益の額を乗じて得た額(著作権法1141項)

・侵害行為により侵害者が利益を受けている場合は、その利益の額(著作権法1142項)

・著作権の行使につき受けるべき金銭の額に相当する額(著作権法1143項)

一般的に裁判等で損害賠償請求をする場合、請求する側は、違法行為の存在・違法行為に基づき損害が発生したこと・損害額をそれぞれ証明する必要がありました。中でも損害額の証明に関しては、著作権侵害の場合には実損ではなく逸失利益が損害となることが多いところ、逸失利益は侵害がなければ発生した損害という仮定に基づくものであるため損害額の算定が困難という事情があります。

損害額を推定する規定がある場合には、違法行為の存在及び違法行為に基づき損害が発生したことさえ証明すれば損害額を具体的に証明する必要がないため、損害賠償請求が容易になります。

著作権侵害を受けた場合の損害額については、「著作権、出版権又は著作隣接権の行使につき受けるべき金銭の額に相当する額を自己が受けた損害の額」が損害額と推定されます(著作権法1143項)。

したがって、ライセンス契約を締結しないでコンピュータ―プログラムをインストールした場合、著作権侵害をした人が本来支払うべきであった使用料相当額が損害と推定されることになります。ただし、あくまでも推定に過ぎないので、著作権者がこれ以上の損害が発生したと証明できた場合には推定が覆され、推定額以上の損害が認められることもあります。

    3.まとめ

    ソフトウェアをライセンス契約なしにインストールすることを許容すると、そのコンピュータープログラムを開発した著作権者にとっては大きな損失となります。特に業務上有用性のあるソフトウェアは、開発にも多額の投資が行われていますので、無断での利用が広く行われると開発者としては投下資本の回収ができなくなり、結果として有用性のあるソフトウェアの開発が進まなくなります。このため、無断使用が発覚すると、そのコンピュータープログラムの著作権者から厳しい追及を受けることになります。

    著作権侵害の損害額の算定については、推定規定も整備されており、比較的容易に損害賠償請求ができる仕組みになっていることも、著作権者による権利行使を後押しするものといえるでしょう。

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