2021.4.1 その他
原状回復工事に関するトラブルについて
1. 原状回復義務にかかる住宅と事業用賃貸の場合の違い
住居 → ガイドライン通り,通常損耗・経年劣化等を除いた損耗・毀損の範囲(民法621条)。
これを超える原状回復義務を賃借人に負担させる特約は,消費者契約法10条などにより
無効とされる可能性が高い。
事業用賃貸 → 原則として民法621条通りだが,多くの場合は通常損耗等を含め契約締結時の状態にまで
原状回復をすべき特約が付されており,有効とされる場合が多い(東京高判平12・12・
27判タ1095号176頁)。ガイドラインは直接には適用されない。
2. 原状回復工事について賃貸人が業者を指定することによる独禁法上の問題
破
上記の点について,独占禁止法上の問題がある。
参考:https://rentpro.jp/archives/468
https://www.office-cm.com/fee/index.html
原状回復ガイドラインにおいても,原状回復について,賃貸借契約書において賃貸人あるいは賃貸人が指定した業者が行うと規定されている場合は,それに従うことになる旨記載があります。
基本的には原状回復工事の業者を賃貸人が指定することに問題はなさそうですが,不当に高い見積もりを出す業者の利用を無理に誘引したりすると独禁法上の問題が生じます。
3. 個人事業主が破産すると事業はどうなるか
上記の点について,独占禁止法上の問題がある。
参考:
・https://rentpro.jp/archives/468
・https://www.office-cm.com/fee/index.html
状回復ガイドラインにおいても,原状回復について,賃貸借契約書において賃貸人あるいは賃貸人が指定した業者が行うと規定されている場合は,それに従うことになる旨記載があります。
基本的には原状回復工事の業者を賃貸人が指定することに問題はなさそうですが,不当に高い見積もりを出す業者の利用を無理に誘引したりすると独禁法上の問題が生じます。
4. 家主指定の業者を利用しなかった場合
基本的に,賃貸借契約書上賃貸人が指定した業者が原状回復工事を行うと規定されている場合はそれに従うことになりますが,例外的に賃貸人が承諾した場合や,単に賃借人が原状回復義務を負う旨規定されている場合などは,賃借人が指定した業者に行わせることも可能と考えられます。
ガイドラインでは,そのような場合,下記のような点に留意すべきと指摘しています(p44)。
- 契約期間終了期日など返還予定期日までに原状回復工事を済ませて賃借物件を返還する必要があり,返還予定日を過ぎると,賃料あるいは遅延損害金が発生する可能性がある事実上行われる原状回復工事については,基本的に賃借している物件と同等の材質,仕上がり等に応じて修繕等を行い返還しないと,賃貸人から原状回復工事のやり直しなどを請求される可能性がある(住居の場合)同等の材料,施工方法により修繕等を行い,通常損耗による建物価値の減少分を上回る状態までにした場合は,賃貸人に利益が生じることになるが,その利益分を賃借人に返還してもらうには,賃借人が賃貸人に対し有益費として別途請求する必要がある
5. 値段の交渉について
(住居の場合)賃貸人の指定業者が高額の見積もりを出したとしても,上記のとおり賃借人が負担すべき原状回復義務は「賃借人の居住,使用により発生した建物価値の減少のうち,賃借人の故意・過失,善管注意義務違反,その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損」の範囲までです。それを超えて見積もり通りの金額を請求する趣旨の条項があるとしても,有効とはいえないであろう。
賃借人が負担すべき原状回復義務を超えた見積もり金額が出た場合は,減額交渉が可能です。
(テナントの場合)オフィスの原状回復は100%借主負担とされるのが通常ですが,具体的な根拠を提示すれば,多くの場合で業者の変更や原状回復箇所の削減が認められる可能性があります。
施工した原状回復工事の内訳や,原状回復費用の見積もりの明細を確認,他の複数の業者からの相見積もりを取得,入居当初の毀損状態や契約上の原状回復の範囲の確認などする必要があります。
6. 交渉期間中の明け渡しについて
交渉期間中であってもテナント等の明け渡しが遅れれば賃料あるいは賃料相当額の賠償金が発生します。明け渡し期限が迫る場合は鍵を返して建物を明け渡し,受領させるか受領拒絶で明け渡し遅滞の責任を免れるかする必要があります。
類例は,東京地裁平成25年6月26日判決。