2021.2.15 破産
破産は弁護士に依頼すべき?少額管財その他のメリット
個人の方が破産手続の開始を申し立てる場合、弁護士に依頼することをお勧めいたします。
弁護士に依頼をすると、手続きをスムーズに進めることができるほか、「少額管財」を利用できるメリットもあります。
この記事では、破産を弁護士に依頼するメリットについて、少額管財の概要と併せて解説します。
1. 破産を弁護士に依頼するメリットは?
個人の方が破産する場合に、弁護士に依頼をするメリットの例は以下のとおりです。
1-1. 受任通知の段階で取り立てがストップする
弁護士が破産事件を受任した場合、債権者に対して一斉に受任通知を発送します。
受任通知では、今後債権(債務)に関する窓口を弁護士が一括して担当する旨が、債権者に対して伝えられます。
これまで債務者に対する取り立てが行われていた場合でも、債権者が受任通知を受領した段階でストップし、それ以降は弁護士がすべての債権者対応を行います。
そのため、過酷な取り立てに悩まされている債務者の方は、弁護士に依頼することでそのストレスから解放されるメリットがあるといえるでしょう。
1-2. 破産手続の準備・遂行を任せられる
破産手続の申立てには、申立書をはじめとする提出書類の作成・準備に多大な手間がかかります。
また、裁判所で行われる破産手続自体も専門的かつ複雑なので、一般の方がご自身だけで対応するのは困難です。
弁護士に相談すると、破産手続の準備・遂行をすべて代行・サポートしてもらえるので、依頼者のご負担はかなり軽くなります。
1-3. 少額管財を利用できる
弁護士に破産を依頼することの大きなメリットの一つとして、「少額管財」を利用できる点があります。
少額管財は債務者にとっての経済的なメリットが大きいので、ぜひ弁護士に依頼をしたうえで、利用をご検討ください。
少額管財についての詳細は、次の項目で解説します。
2. 少額管財とは?破産手続に必要な予納金が少額に
少額管財とは、いわゆる「管財事件」において、手続きを簡略化することで破産管財人報酬を抑制し、債務者が裁判所に納付する予納金を低額に抑える実務上の運用をいいます。
少額管財の運用は、東京地裁をはじめとして、多くの裁判所で導入されています。
2-1. 管財事件では予納金が必要
破産手続には大きく分けて、「同時廃止事件」と「管財事件」の2種類があります。
破産財団が破産手続の費用を支弁するのに不足する場合は同時廃止事件となり、破産手続は開始と同時に終了します。
この場合、債務者の費用負担は最低限の実費のみで済みます。
これに対して、債務者が一定以上の財産(実務上の基準としては、33万円以上の現金)を所有している場合には管財事件となり、破産管財人が選任されます。
管財事件では、主に破産管財人の報酬を賄うために、債務者が裁判所に対して予納金を納めなければなりません。
2-2. 特定管財と少額管財の予納金の比較
通常の管財事件(特定管財)と、破産管財人の報酬を抑えた少額管財では、裁判所に納付すべき予納金の金額が大きく異なります。
特定管財の場合、東京地裁では、負債額に応じて予納金が以下のとおり設定されています(裁判所によって異なる場合があります)。
負債額 |
特定管財の予納金 |
5000万円未満 |
50万円 |
5000万円以上1億円未満 |
80万円 |
1億円以上5億円未満 |
150万円 |
5億円以上10億円未満 |
250万円 |
10億円以上50億円未満 |
400万円 |
50億円以上100億円未満 |
500万円 |
100億円以上 |
700万円 |
これに対して少額管財の場合、予納金額は一律20万円です。
上記からは、少額管財が適用される場合、特定管財に比べて大きく予納金を節約できることが分かります。
2-3. 少額管財は弁護士が代理人である場合のみ利用可能
少額管財は、弁護士を代理人として破産手続開始の申立てを行った場合に限り利用可能とするのが、現在の裁判所における実務上の取扱いとなっています。
少額管財では、破産管財人報酬をカットする反面、破産手続が全体的に簡略化されます。
しかし、比較的シンプルな手続きの中でも、適正な処理を確保することは重要です。
そのため、法律の専門家である弁護士のサポートがある申立てに限って少額管財の適用が認められているのです。
破産を弁護士に依頼すると弁護士費用がかかりますが、予納金の金額が減ることを考えると、依頼者にとっての実質的な負担は決して大きくないといえるでしょう。
まとめ
破産を弁護士に依頼すると、破産手続の専門的かつ複雑な準備などをスムーズに進めることができるだけでなく、少額管財の利用により、予納金額を低く抑えられるメリットがあります。
少額管財には、弁護士費用の実質的な負担を軽くする効果があるので、破産を弁護士に依頼するハードルは決して高くありません。
債務の支払いが困難になってしまった方、多重債務状態から生活を再建したい方は、一度弁護士までご相談ください。
依頼者のご状況に合わせて、親身になってアドバイスを差し上げます。