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給料ファクタリングについて

 

1.「給料ファクタリング」の現状

 近時、「給料の前借り」と称して現金を貸し付ける「給料ファクタリング」という貸し付け手段が見られます。

 新型コロナウイルス感染症の社会的影響もあり、生活が困難になり、さらには多重債務によって一般的な消費者金融からの借り入れも難しくなってしまった人が、当面の給料を担保にこうした金融業者に手を出してしまうことが多くなっています。

 しかしながら、現状、給料ファクタリング業者には、貸金業の登録を受けることなく法外な手数料を徴収する事実上のヤミ金といえるものが非常に多いと言わざるを得ません。

 違法な給料ファクタリング業者には、主に以下のような問題点があります。

① 事実上の「貸金」でありながら、貸金業の登録をしていない

② 業者が徴収する「手数料」は事実上の「利息」であり、しかも出資法に違反する超高率である

③ そもそも給与債権を貸金の担保にするスキームに無理がある

 

2.給料ファクタリングとは

 そもそも、「給料ファクタリング」とは何なのでしょうか。

 企業の資金調達方法の一つに、ファクタリングという手法があります。簡単にいえば、会社が商品やサービスを提供して取引先から得た売掛債権を、入金日より前にファクタリング業者に売却して資金を得る、というような方法です。

 給料ファクタリングも、「建前上は」、労働者が会社に対して持っている賃金債権(労働者が会社にお給料を支払ってもらうことを求める権利)を、業者に売却します。業者は、その給料の額面から手数料を徴収し、それを控除した金額を利用者に貸し付けます。業者が取得した賃金債権は、利用者から給料をそのまま業者に支払わせる方法で回収します。

 これまで、給料ファクタリング業者は、上記のやり方は「債権の売買」であって「金銭の貸付け」ではないから、出資法や貸金業法の規制を受けないと主張してきました。

 これに対し金融庁は、令和2年3月5日、給料ファクタリングは事実上金銭の「貸付け」であり、貸金業法の規制を受けるとの見解を発表しました。

(https://www.fsa.go.jp/common/noact/ippankaitou/kashikin/02b.pdf)

 

3.給料ファクタリングの問題性

 そもそも、賃金債権は、会社が労働者に「直接」支払わなければなりません(労働基準法24条1項)。仮に労働者から給料債権を譲り受けた者がいるとしても、会社は労働者に給料を支払わなければならず、譲り受けた者は会社に支払いを求めることはできません。

 そうすると、賃金債権の譲渡を受けたという業者は、常に利用者(=労働者)に対して給与分の金銭の支払いを求めることになります。

 ということは、結局、これは債権の売買などではなく、利用者のお給料を当て込んだだけの「お金の貸し借り」にすぎないのです。

 

 したがって当然、業として貸金業を行う給料ファクタリング業者は、貸金業法・出資法等の法令の規制が適用されることなり、業者は貸金業の登録を受けなければならず、また徴収する手数料にも利息の制限がかかります。

 ところが、違法な給料ファクタリング業者は、貸金業の登録なく上記の貸し付けを行っています。

 また、月々に徴収される手数料も、年率にすれば109.5%を超えた出資法に違反する高利率である可能性があります。

 

4.最後に

 金融庁はこうした悪質な業者に対する注意を呼びかけており、最近では業者の摘発事例もあるようです。

 もし新型コロナの影響などで当面の資金繰りに困るなどのことがありましたら、こうした悪質業者に手を出すのではなく、まずは公的支援を頼りましょう。

 

 また、既にこうした悪質な貸金の手口にかかってしまったのではないかとご不安な方は、弁護士に相談してみましょう。

 

 

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